こんにちは。相太です。
注文住宅で重視する点は何でしょうか。
我が家のコンセプトはローコストで光熱費の安い家を目指しました。
でも3年前の家を建てる前の知識では理想の家作りとは言えなかったかな・・・・。
夏場に涼しく過ごそうとして窓を沢山配置し風通しの良い家にしたものの、冬はあまり暖かくない家になってしました。
そこで、今回は簡単に「冬に温かい家」を作る方法を考えてみました。
暖かい家を作る一番簡単な方法は窓を少なくする事!
住宅業界で高性能な家は「ZEH仕様」「高気密高断熱」「パッシブハウス」など、色々な単語や用語が並びます。どの仕様の家も魅力的ではあるのですが、その分設備費用が高額だったり、ZEHで言えば補助を受ける為の申請が必要だったりします。
その分建設費が上がってしまうので、資金に余裕がない人には選択肢に入りません。
ではローコストで家を建てたい人は冬に温かい家に住めないのでしょうか。
いえいえ、そんなことは無いです。
実際に家を建ててみて判ったのは・・・・
温かい家にするならまずは窓を少なくすることが一番簡単です!
樹脂サッシ?第一種換気?
いやいや、そこにお金をかける前に窓を少なくするのが一番手っ取り早いです!
この家は恐らく北側の玄関だと思いますが、極力窓を減らしている印象です。
実は家を建てる際に私達は「家の断熱材=断熱性能」であり「窓=明るくなる」という認識でした・・・。それが甘かったんです。
窓が冬も夏も断熱性能に一番関わってくることが家を建ててから実感しましたね。
夏に涼しく、冬に暖かい家を作る方法
日本の行政機関である経済産業省 資源エネルギー庁が公開している省エネサイトの内容が簡潔で判りやすいのでオススメです!
家庭の省エネルギーを進めるうえで重要な要素である暖冷房エネルギーを少なくするために、住宅そのものを省エネ住宅化することで大きな効果があると紹介しているページです。
どこから熱が逃げたり、入ってきたりするのか?
下のイラストが判りやすいんですけど、冬の場合と夏の場合で熱の流入割合を紹介されていますが、窓が一番熱の流入に関わっているのがよく判ります。
~経済産業省 資源エネルギー庁サイトより引用~
夏で熱が窓から入る割合が71%で高いですが、これは太陽の日射熱ですね。これは家の外側に日除けを置く事でかなり改善されます。
ただ、冬の窓からの48%の熱放出を防ぐのはなかなか大変! 最近はLow-E 複層ガラスが一般的にはなっていますが、正直日本のサッシは断熱性能が不足気味です。
ローコストで断熱性能の良い窓は世の中にまだないです。
窓(サッシ)の種類は複数ありますが、簡単に性能に差が出る仕様を比較してみました。
■ガラス
単層ガラス < 複層(ペア)ガラス < 複層(トリプル)ガラス
■ガラス間内部の種類
空気 < アルゴンガス < クリプトンガス
■サッシ(窓枠)
アルミ < 樹脂+アルミ < 樹脂
全て一番断熱レベルの高い素材を使った商品はLIXILのレガリスですが、5枚ガラス、クリプトンガス、樹脂サッシで熱貫流率U値が0.55と断熱材並みの性能を持つ窓は存在しますが、まだ現在だと高額すぎて採用する気になれないと思いますね。
ただ、サッシは今後新しい製品が発表される予定です。
素材開発ベンチャー、「ティエムファクトリ」がエアロゲル素材「sufa(スーファ)」を開発中でYKK APとの共同開発をしています。
一般的な単層の板ガラスが6W/m2・K位、Ar注入したペアガラスだと1~3W/m2・K位であるのに対して、sufaをはさんだペアガラスでは0.53W/m2・Kを達成できる予定との事です。同じ性能をガラスで得ようとする場合、断熱用に金属膜コーティングをした板ガラスを5枚使い、間にArガスを封入した4層を置く必要があるそうです。(これは現在最高レベルの商品であるLIXILのレガリスを例えていると思います)
そのような窓は重いことに加え、sufaをはさんだ窓と比べて8倍近い価格になってしまうそうです。言い換えれば、1/8の価格でレガリスと同性能の窓が設置できるという事にもなりますね!2020年に商品化予定らしく、これは期待が持てます。
sufaのような新素材を利用した窓が普及すれば、窓を大きく取っても良いと思います。
窓を少なくしたらデメリットは無いの?
簡単な事ですが、窓を少なくすると光の流入が少なくなり、風通しが悪くなります。
ふつうに考えると窓を少なくしたら家全体が暗くなってしまう・・・。そう思うじゃないですか。
でも、実際家を建てて判ったのは家の中で絶えず光が入っていてほしい部屋って実は限られているということ。
一番光が入ってきてほしい部屋はリビングですね。
我が家も窓を3方向に7個もの窓を設置したおかげで日中は夏も冬も明るいリビングになりました!リビングに関しては我が家も大変満足していますよ!
リビングは窓枚数がある程度多くても良いと思います。その代わりできればリビングだけでも性能の良い窓を付けたいですね。
では他に明るい部屋はどこが必要でしょうか。
暗い部屋でも良い個所
実は正直言ってリビング以外の部屋がいつも明るい部屋である必要はないんです。
まず寝室は寝る部屋だから日中明るくなくてよいです。朝日を感じられる程度で十分。
我が家の寝室はちょっと明るすぎたなぁ。引違い窓は部屋だけで考えると不要だけど、バルコニーに出る為の窓なのでしようがないかな。
我が家の北側の子供部屋。ちょっと暗いイメージがあるのですが、南側ならこの窓配置で十分だと思います。
子供部屋は子供が中学校から大学生までと大きくなった時に使う部屋。日中は学校に行って、夜になると部屋で勉強したり、寝たりすると思います。採光に関係ある日中に人がいないのであれば窓を大きく取って採光は必要あるかというと微妙ですよね。逆に窓が多かったりすると不便な場合もあるんです。
現在空いている南側の子供部屋を勉強の時に使ってみて判ったのは意外に部屋の中の環境は今一つでした。確かに部屋は明るいんだけど冬は寒いし夏は暑い。やはり窓の影響だと思います。
あと、日中に最低限の明るさが必要なのは玄関と廊下だと思います。
玄関に入った時に明るいと凄く印象に残ります。
我が家は3連の縦滑り窓をつけましたが、暗い家にはならなかったのでよかったなぁと思います。
我が家は採光&風通しを重視して30個近く窓を付けましたが、正直やりすぎました(笑)
ローコストな家でも事前にしっかり勉強すれば夏に涼しく冬に暖かい家が出来上がります!
家を一度建てた私達から言うと、下記の項目を考慮して作ればローコストな家でも十分暖かい家が作れる可能性があります。今の建売レベルの仕様でも工夫をすれば比較的過ごし易い家になるはずです。
- 窓の数はリビング以外は最低限で十分
- 窓は最低でもLow-Eペアガラス(アルミ
樹脂複合) - 断熱材は施工ミスが少ない吹付ウレタン断熱
- パッシブデザインを考慮した家作り
一番下の「パッシブデザイン」とは何だろうと思うかもしれませんが、パッシブデザインとは、太陽光や風といった自然のものを有効利用した設計手法を言います。
たとえば、冬期に開口部から日射熱を取得しやすい窓の配置だったり、他にも「窓を対角線上に設ける」や「窓に高低差をつける」ことで空気が循環しやすくなったりします。
パッシブデザインの考えを持って家作りすればうまく設計すれば1件辺り50万ほどの増額で住みやすい家になる可能性があります。
予算のある人は一条工務店さんのようなハイスペック住宅がいいでしょう。高気密高断熱で第一種換気の家は室内の温度変化も少なく暮らしやすいはずです。
でもその分建築費は高いですし、固定資産税も高いですよ。
では予算が限られている人が注文住宅を作るとどうなるか?ローコストでも自由設計の注文住宅が作れるのでつい浮かれてしまい、窓を大きく沢山付けると現在の建材性能では30年前の家に比べたら性能的にはよいでしょうが、まだまだ夏に熱く、寒い家になってしまいますね。
かといってローコスト系の住宅を建てる建築会社にパッシブデザインの考えを持った設計を行っている所はほぼ無いでしょう。
安く済みやすい家にするには、施主自ら「パッシブデザイン」について本などでしっかり学んでおき、ローコスト住宅を建てる施工会社に、「私達の家にはパッシブデザインの設計思想を取り入れたい」初めから言っておき、施主と建築会社一緒になって勉強しながら家の間取りなどを検討するのが良いと思いますよ!
初めから言っておけば、今までパッシブデザインに取り組んだことのない建築会社もある程度調べて家作りしてくれると思います。